国際的に通用する英語医学論文を書くには、どんな勉強をしたらよいのでしょうか。
この記事では、まず英語ライティングを上達させる一般的な方法をご説明した後、英語医学論文の書き方についてご説明します。
英語医学論文を書く際に避けた方がいいことと、英語医学論文の書き方やコツをご紹介。
また、英文添削を受けることが英語医学論文の上達に効果的な理由と、医学論文に強い英文添削会社の選び方をご説明します。
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英語ライティングでは、フォーマルな英語表現を使って英文法に則った正しい英語を書かなければなりません。
カジュアルな表現が多用され、文法的に正しくない英語表現も含まれる会話文とは大きく異なるため、英語ライティングのための勉強が別途必要。
英語ライティング上達に役立つ方法を、以下で具体的にご説明します。
フォーマルな英語ライティングでは、書き言葉に適した単語を選ぶ、句動詞は使わない、短縮形は使わないなどのルールがあります。
英語の書き言葉は、会話で使われる表現とは単語レベルから異なります。
たとえば「推測する」を英語で言う場合、会話では”guess”という言葉がよく使われますが、ライティングでは”assume”など他の言葉が使われます。
会話でよく使われる句動詞(動詞と前置詞や副詞などの組み合わせから成るフレーズ)も、ライティングではあまり使われません。
たとえば、「続ける」という意味の句動詞に”go on”がありますが、ライティングでは”continue”など動詞一語で表すことが一般的です。
また、会話文では短縮形(“don’t”など)が多用されますが、ライティングでは短縮形は使いません(“do not”)。
さらに、会話文ではbe動詞が省略される(“You ready?”)、文脈から分かる部分が省略される(“It’s not.”)ことがありますが、英語ライティングではフルセンテンスで書きます。
英語ライティングで正しい英語を書くためには、英文法の習得が不可欠。とは言え、英文法の試験を受けるわけではありません。
限られた時間で効率的に勉強するためには、ライティングに重要な文法項目を重点的に復習することをおすすめします。
ライティングに重要な文法項目はたとえば、「品詞」、「文型」、「時制」、「関係代名詞・関係副詞」、「分詞構文」、「句読点」の使い方など。
「文型」を学ぶことは正しい英文を組み立てるために必須です。
また、文型を理解するには、文型の各要素にどの品詞の単語等を置くことができるか知る必要があるため「品詞」の理解も重要。
第2文型の「SVC」を例に取ってご説明します。
Sは「主語」、Vは「動詞」、Cは「補語」を表します。「主語」には名詞、「動詞」には動詞が置かれ、「補語」には名詞または形容詞が置かれます。
【補語が名詞の第2文型例文】
He became a teacher.
(彼は教師になった。)
【補語が形容詞の第2文型例文】
He became old.
(彼は年を取った。)
英語ライティングの初学者がやりがちなミスの1つに、「補語」に副詞を置いてしまうというものがあります。
× He became forgetfully.
この例文の場合、“forgetfully”は副詞なので、形容詞の”forgetful”にすべきです。
He became forgetful.
(彼は忘れっぽくなった。)
また、副詞は文型の主要素(S,V,O,C)にはならず修飾語になります。
He acts forgetfully.
上の文で副詞(forgetfully)は文の要素ではなく修飾語なので、この文は第1文型(SV)。
上の例文のように短い文では本能的に正しい文を書ける方でも、長い文になるとつい間違えてしまうこともあります。正しい英語ライティングのためには、文型や品詞を深く理解していることが大切です。
また、日本人の英語ライティング初学者が間違えやすい文法項目に、句読点の使い方があります。
たとえば関係代名詞や関係副詞を使う時、直前に句読点があるかないかで意味が変わってしまうので注意が必要。
また、フォーマルなライティングでよく使われる「コロン(:)」」や「セミコロン(;)」の使い方も確認しておきましょう。
お手本となるような良い英文を真似して書くのが、英語ライティング上達の一番の近道。
自分が書く英文と同じ種類の英文を読んで理解し、そこで使われている構文や語彙を真似して書いてみましょう。
英文を読んでいて出会った表現の中から、自分のライティングに役立ちそうな表現をリストアップしておくと便利です。
英語ライティングの上達には上述したように独学でできることもたくさんありますが、他の人に添削してもらうプロセスも欠かせません。
何度見直しても自分では気づきにくいライティングの癖、ミスや不自然な表現があるからです。
英文を添削してもらってよりよい表現を教えてもらうことは、表現力を高めるのにも役立ちます。
英語で医学論文を書くためには、一般の英語ライティングに必要な知識以外にも気を付けるべき点があります。
英語医学論文を書く時に、避けた方がいいことを以下でご説明します。
英語医学論文には書き方のルールがあります。
それを学ばずに自分流で書いてしまうと、たとえ内容が素晴らしくても、第三者に伝わりにくくアピール力の低い医学論文になってしまうので注意しましょう。
たとえば、英語医学論文では一般的に動詞の「過去形」がよく使われますが、その分野における通説などを述べる場合は動詞の「現在形」が使われます。
また、後述するように、英語医学論文で一般的な論文構成や、よく使われるアカデミック英語表現があるので、これらを学んでから書くとスムーズです。
英語医学論文などのフォーマルな英語ライティングでは通常、構成を決めてから書き始めます。
後述する英語医学論文の構成の中で、さらに細分化してどんな段落をどの順序で書くか、各段落の主な内容などを箇条書き等で書いておき、その後に実際に文章を書き始めまるのが一般的です。
構成を決める前に書き始めてしまうと、書いた英文を後から論理的な順序に編集するのは至難の業。かえって、執筆に時間がかかってしまいます。
英語医学論文を書く時には、論文構成を考えることに十分な時間を割くことが大切です。
英語ライティングにまだ慣れていない場合、まず日本語で医学論文を書いて英語に訳そうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、日本語の論文を「翻訳」しようとすると、どうしても不自然な英語になりがちです。
日本語の文を英訳するよりも、英語医学論文で一般的に使われている英語表現を学んだ上で、英語で書いていく練習をした方が、自然で伝わりやすい英語になります。
日本語でアイディアを記しておくにしても、箇条書きなどメモ書き程度にとどめ、英語医学論文が日本語の直訳にならないようにしましょう。
もし日本語の医学論文が既にあってそれを英訳する必要がある場合は、一語一語訳していくのではなく、文全体、段落全体の意味を正確にとらえ、それを英語でどう表現すれば第三者に伝わりやすいかを考えながら英訳すると自然な英語になります。
医学用語には、普段の生活では使わないような専門的な言葉がたくさん含まれているもの。
英語医学論文を書く時に、専門用語の英語表現を毎回調べていては、論文執筆に膨大な時間がかかってしまいます。
自分の専門分野で頻出する医学用語の英語表現は、試験勉強のように単語帳などを使って一気に覚えてしまうことをおすすめします。
また、完璧に覚えてなくても、エクセルなどに一覧表にしてすぐに参照できるようにしておくと、英語医学論文を書く時の労力を随分と減らすことができます。
英語医学論文の書き方とコツを、以下で具体的にご説明します。
英語医学論文は「症例報告論文」と「原著論文」の2種類に大別されます。
「症例報告論文」は症例が1つのみでも作成可能な論文。
一方、「原著論文」は独自の研究結果を示す論文で、実験や研究方法が再現可能なのが特徴です。
下の表のとおり、それぞれの医学論文の構成は異なります。
症例報告論文 | 原著論文 |
Abstract(抄録) | Abstract(抄録) |
Introduction(序論) | Introduction(序論) |
Case(症例) | Methods(方法) |
Discussion(考察) | Results(結果) |
Conclusion(結論) | Discussion(考察) |
Abstract(抄録)とIntroduction(序論)はどちらの論文構成にも含まれますが、Case(症例)は「症例報告論文」の構成のみに含まれ、Methods(方法)とResults(結果)は「原著論文」の構成のみに含まれます。
「原著論文」はIMRAD(イムラッド)と呼ばれる構成になっています。
IMRADとは、Introduction(序論)、Methods(方法)、Results(結果)、Discussion(考察)の頭文字を取ったもの。
また「原著論文」では、Conclusion(結論)はDiscussion(考察)内の最後に書きます。
上の表にある構成部分のそれぞれで、どのような内容の段落をどのような順番で書いていくか決めてから、文章を書き始めましょう。
英語医学論文の頻出表現を学ぶと、ライティングがぐんと楽になります。
学んだ方が良い英語表現には、医学論文に限らず論文全般でよく使われるアカデミック英語と、英語医学論文に特有の英語表現があります。
学術論文を書く時のコツは、アカデミック英語でよく使われる構文やつなぎ言葉を学ぶこと。たとえば、以下のようなものがあります。
つなぎ言葉は文頭に置かれて、前の文との関係を示します。
【論文でよく使われる構文の例】
The purpose of this study is to …
(本研究の目的は…することである)
“It is widely acknowledged that …
(…とうことは広く認められている。)
The table below shows …
(以下の表は…を示している。)
A lead to B.
(AがBを引き起こす。)
【論文でよく使われるつなぎ言葉の例】
however(しかしながら)
therefore(それゆえ)
in addition(その上)
英語医学論文に特有の英語表現には、体の各部、病名、治療名などの専門用語がまず挙げられますので、自分の専門分野のものは一通り覚えておくことをおすすめします。
病名や治療名は、ギリシャ語やラテン語由来の英語で発音やスペリングが難しいものが多く、覚えるのが大変です。
ただ接頭辞や接尾辞を学ぶことで、少し覚えやすくなります。
たとえば、「心臓」を表す接頭辞”cardi-”を知っていれば、「心臓学」を表す”cardiology”、「心臓機能促進剤」を表す”cardioaccelerator”、「心臓血管の」を表す”cardiovascular”を覚えやすくなります。
また、「炎症」を表す”-itisという接尾辞を知っていれば、「関節炎」を表す”arthritis”、「虫垂炎」を表す”appendicitis”、「胃炎」を表す”gastritis”を理解しやすいでしょう。
この他、医学分野の中でも細分化された分野ごとに、英語医学論文でよく使われる定型表現があります。
このような定型表現、頻出表現を知っていると、英語医学論文を書くのが楽になりますし、読み手にとっても理解しやすい論文になります。
英語ライティングの上達法のところでも書きましたが、良い英文を書くにはお手本となる英文を数多く読むことが欠かせません。
英語医学論文のライティングにおいても、ライティングのお手本にするために、同じ専門分野において広く読まれている英語医学論文をたくさん読むことが大切。
たとえば、医学論文の文献レビューの一環として読んだ文献の中から、ライティングのお手本となりそうな英語医学論文を選ぶと良いでしょう。
よく使われている表現や自分でも使えそうな構文があったら、印を付けながら読むことをおすすめします。
英語医学論文を書いている最中に良い英語表現が思いつかい場合、「そう言えば、あの論文に良い表現があった。」と探していては非常に時間がかかります。
ライティングのお手本となる英語医学論文から、自分が英語医学論文を書く時に参照するための英語表現リストを作っておくと役立つでしょう。
作成した英語表現リストはいわば、自分だけの心強いライティングツールとなり、執筆時間の短縮にもつながります。
投稿予定のジャーナルがある場合は、ジャーナルの投稿規定に沿って書くのが大原則。
ジャーナルの投稿規定には、アブストラクト(Abstract)の構成、参考文献の書き方など事細かに決められています。
また、参考文献は決められたとおりに正しく書かないと「剽窃」と見なされる可能性もあるので、特に注意しましょう。
ここまで、独学でできる英語医学論文の上達法をお伝えしてきました。
ただ、高度に専門的な英語医学論文のライティングを上達させるには、第三者から英文添削を受けることも大切です。
以下で、英語医学論文を添削してもらうメリットと、英文添削がライティング上達に役立つ理由をご説明します。
英語医学論文を第三者に添削してもらう主なメリットは以下の4つです。
母国語の日本語で文章を書いた場合でも、自分で何度も見直したはずなのに第三者に添削してもらうと自分では気づかないミスが見つかる、ということは珍しくありません。
特に、医学論文と言う極めて専門性の高い文章を、母国語ではない英語で書くのですから、専門分野に詳しいネイティブなどの第三者に添削してもらうプロセスは不可欠と言えるでしょう。
第三者に英文添削を受けると、単純なスペリングミスや文法上の誤りだけでなく、伝わりにくい英語表現の明確化、より良い英語表現の提案など、様々な面で英語医学論文をブラッシュアップすることができます。
英語として正しくても、英語医学論文の専門分野で一般的に使われる表現でない場合は、読み手に伝わりにくい英語論文になってしまいます。
この点については、当該専門分野における英語医学論文を数多く読み書きしていないと気づきにくい部分です。
専門分野に詳しい校正者に添削してもらうことで、当該専門分野の英語医学論文に特有の表現に修正することができます。
投稿予定のジャーナルがある場合は、そのジャーナルの投稿規定に沿って書くのが必須条件。
論文が投稿規定に従って書かれていない場合、論文がリジェクトされる原因になることもあります。
英文校正会社や校正サービスプランによっては、英語医学論文自体の添削にとどまらず、投稿予定のジャーナルの投稿規定に沿って書かれているかをチェックしてもらうことができます。
自分で投稿規定に沿っているか確認することはもちろんですが、プロの第三者の目で確認してもらえると安心です。
英文添削会社によってはジャーナルの査読経験がある校正者もいます。
英文添削会社に依頼すると、査読者の視点からアクセプトされやすい論文になるよう添削してもらえまることもメリットの1つ。
ジャーナルにアクセプトされやすい医学論文に仕上げるために、第三者から見て明快な内容になっているか、論理的一貫性を有し、適切な構成の医学論文になっているかなどの観点から添削してもらうことができます。
上述のとおり、英語医学論文を添削してもらうメリットはたくさんあります。
では、英文添削を受けることは英語医学論文のライティング力アップにどうつながるのでしょうか。
以下で具体的にご説明します。
英文添削を何度か受けていると、自分が論文を書く時に間違いやすいポイントの傾向がつかめてきます。
よく間違えるポイントをメモしておくと、次に英語医学論文を書く時に気を付けるようになりますし、自分でプルーフリードする時のチェックポイントとして活用できるので、英語ライティング力がアップします。
英文添削を受けると、英語のミスの修正にとどまらず、より適切な英語表現を提案してもらえることから、新しい英語表現や構文に触れることができます。
また、医学の専門知識を有する校正者に英文添削してもらうことで、医学論文に特有の言い回しも習得可能です。
次に英語医学論文を書く時に、英文添削を通じて学んだ新しい表現や構文、医学専門用語の英語表現を積極的に使って書くことを通じて、自分のものにすることができます。
英語医学論文に詳しい英文校正会社に添削を依頼すると、論理的一貫性や英文の簡潔さの観点からも添削してもらえます。
論理的一貫性を有する論文の書き方とはどんなものか、簡潔な英文を書くにはどのような方法があるのか、英文添削を通じて学ぶことができます。
次に書く英語医学論文の論文構成を決めるに当たって、段落と段落の順番、文と文のつながりなど、論理的一貫性を有する論文になるよう考える習慣が身に付くでしょう。
また、同じ意味を持つ英語表現が複数ある場合はより簡潔な表現を選び、論文の中に内容が重複する部分がないか意識して書けるようになってきます。
最後に、英語医学論文に強い英文添削会社をどのように選んだらいいのか解説します。
英文添削会社を選ぶ最初の一歩は、英文添削会社の得意分野を確認すること。
各会社のウェブサイトを見て、以下のポイントを確認しましょう。
英語医学論文を得意とする英文添削会社が見つかったら、添削数やジャーナルへの論文採択率などの英語医学論文の添削実績を調べ、会社の設立年なども確認しておきましょう。
英文添削のクオリティは担当する校正者の実力によるところが大きいもの。
英語医学論文の添削を担当する校正者が何人くらいいるのか、また各校正者のプロフィールなどを確認しましょう。
プロフィールには、校正者の学歴、経歴、論文等出版経験、添削経験などが書いてあります。
医学論文に詳しい校正者の中でも、より自分の専門分野に近い校正者がいた方が望ましいのは言うまでもありません。
また、自分が投稿する予定のジャーナルでの出版経験や添削経験、査読経験がある校正者がいればなお良いでしょう。
英語医学論文添削の料金や納期などの条件も確認しましょう。
添削料金は、添削内容や納期によって変わってきます。
添削する英文が専門的なほど、かつ高度な添削内容が含まれているプランほど、料金は高くなり、さらに、納期が短いほど料金が高くなる傾向にあるので、時間的に余裕を持って依頼した方がベター。
英文添削会社によっては他社と比べて随分と安価な添削サービスを提供している場合もありますが、英語自体のミスだけを修正する添削プランであることもあります。
英語医学論文など専門的な内容の英文添削を依頼する場合、添削の料金が安ければ良いというわけにはいきません。
各社また各添削プランの料金を比較する際には、添削に含まれるサービス内容や担当する校正者のクオリティを確認しながら比べるようにしましょう。
英文添削会社の添削体制も重要。2人以上の校正者によるダブルチェック体制を取っているか、再校正のサービスが付いているか、再校正は有料か無料か、データ保護体制は信頼できるものか、などに注目しましょう。
添削会社のウェブサイトに顧客の感想コメントなどがあれば、それらも参考にするとよいでしょう。
英語医学論文の添削については、以下の記事もご参照ください。
英語医学論文のライティングには、通常の英文ライティングに必要なスキルに加えて、特有のコツがあります。
この記事では、英語医学論文の書き方やコツとして、以下のことをお伝えしました。
また、英語医学論文の上達には英文添削を活用することがおすすめであり、そのメリットとライティング力アップに役立つ理由も解説。
最後に、英語医学論文の添削に強い英文添削会社の選び方をご説明しました。
内容的に高度で専門用語が多い英語医学論文のライティング力をアップさせるには、長期的な戦略が必要。
この記事でご紹介した独学でできる勉強法を継続しながら、英文添削会社など外部の力をうまく活用し、英語医学論文ライティングの上達を目指しましょう。
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